Help Page for the Java-Powered Simulation for Base Isolation |
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このプログラムは,上図のように5つのコンポーネント(1)Control Panel,(2)Animation Frame,(3)Earthquake Signal Frame,(4)Bode Plot & Response Spectra Plot Frameそして(5)Time Response Frameから成り立っています.またこのプログラムでは,各パラメータを任意に設定することができ,それらの入力条件に対応した応答を得ることができるようになっています.
アプレット上の一番右側の部分にあるControl Panelでは,構造物,免振装置そして入力地震波それぞれの特性値を任意に設定することができます.またこのパネルには,構造物の応答を計算させるボタンやアニメーションの制御を行うボタンさらにその他の機能を実行させるボタンなども含まれています.
Structural Parameters
Mass:上部構造の質量.初期値は100[tons]. Natural Frequency:上部構造の固有振動数.初期値は1[Hz]. Damping Ratio:上部構造の内部減衰(率).初期値は0.05[-].Isolation System Parameters
Mass Ratio:上部構造と基礎床との質量比(=基礎床の質量/上部構造の質量).初期値は0.1[-]. Natural Frequency:免震層の固有振動数.初期値は0.5[Hz]. Damping Ratio:免震層の減衰率.初期値は0.2[-]. Seismic Gap:構造物端部と免震ピット端部の隙間.
この間隔が狭すぎた場合,免震層と地面が衝突し構造物の倒壊を招く恐れがあります.それを回避するためにもこの値を免震層の最大変位より十分広く設計する必要があります.初期値は0.2[m].
Earthquake Input Parameter
Max Amplitude:入力地震波として使われている加速度の最大振幅.初期値はそれぞれの実際に観測された地震波の最大加速度と同じです.この値を調整することで各地震動の最大加速度を同一とすることができ,同一最大加速度入力での応答の違いを比較することが可能となります.Check Boxes
表示させたい応答のラジオボタンをチェックして下さい.Response Window Zooming
アニメーション時におけるEarthquake FrameとTime Response Frameの時間軸の表示幅(単位は秒).アニメーションがスムーズに表示されない場合,この値を小さくすることで改善できます.Number of Spectra Data Point
応答スペクトルを描画するために,1自由度振動系の幾つかの固有周期(ここでは0.5秒〜10秒まで)に対応する応答を求める必要があります.この値はどれだけのデータを用いて応答スペクトルを描画するか,すなわち応答を求めるために何回計算を行うのかということを示しています.なるべく短時間で計算を終わらせたい場合はこの値を小さく,また応答スペクトルを詳細に描画させたい場合にはこの値を大きくして下さい.Action Buttons
Calculate:このボタンを押した時点で,各パラメータに対応したテキストフィールドに入力されている値をもとに再計算を行います.”Structure”,”Isolation system”,”Earthquake Input”のパラメータおよび”Number of Spectra Data Point”の値を変更した場合には,このボタンを押して再計算させる必要があります.なお地震波応答の計算に0.02[sec] (50[Hz])の積分刻みを用いているため,上部構造および免震層の固有振動数を5[Hz]以下に設定して下さい.計算に時間がかかるときには,上述の”Number of Spectra Data Point”の値を小さくすることで計算時間が短縮できます.
Animate:地震波入力加振時の構造物の動きをアニメーション化します.アニメーションを表示している間,このボタンのラベルが”Stop Animate”に変わり,その間にもう一度押すことでアニメーションが停止します.
Reset Parameters:すべてのパラメータを初期値に戻します.
Console Window:特性値や計算結果を表示するための新しいウインドウを生成します.
Help:ヘルプページにリンクしています.
Animation Frameでは,地震波によって加振されたときの構造物の様子をアニメーション表示します.フレーム下にある左側のメニューを選択することで,それに対応したケースについてのアニメーションを表示することができます.また,右側のメニューを選択することで,構造物の動きを絶対座標系または相対座標系から見た場合のアニメーションを表示できます.
Earthquake Signal Flameは,計算に使用する入力波の選択を行い,入力波として計算に使用している地震波を表示します.このアプレットでは,入力波として以下の4つの地震波を使用することができます.:
エルセントロ 地震波:North-south component recorded at Imperial Valley Irrigation District substation in El Centro, California, during the Imperial Valley, California earthquake of May 18, 1940. マグニチュード7.1,最大加速度0.3495g.
十勝沖(八戸)地震波:NS成分,1968年3月16日八戸市にて観測,マグニチュード7.9,最大加速度0.2294g.
ノースリッジ地震波:North-south component recorded at Sylmar County Hospital parking lot in Sylmar, California, during the Northridge, California earthquake of Jan. 17, 1994.マグニチュード6.8最大加速度0.8428g.
兵庫県南部(神戸)地震波:NS成分,1995年1月17日神戸気象観測所にて記録,マグニチュード7.2,最大加速度0.8337g.
このフレームでは,それぞれの地震波の変位または加速度波形を表示させることができます.
Bode Plot & Response Spectra Plot Frameでは,ボード線図と応答スペクトルを表示します.ボード線図では,入力を地震波加速度,出力を上部構造の変位,速度,加速度,基礎床の変位,速度,加速度,または上部構造の支柱部分に作用する剪断力としたときの伝達関数より,Time Response Frameで選択された出力に応じたゲインと位相を表示します.応答スペクトル線図では,変位,速度及び加速度の応答スペクトルを表示します.
Time Response Frameでは,Earthquake Signal Frameで表示されている地震波入力に対する時刻歴応答を表示します.ここでは,上部構造の変位,速度,絶対加速度,基礎床の変位,速度,絶対加速度または支柱に作用する剪断力を表示することができます.各応答の最大値や応答低減(=免震時の最大応答値/固定時の最大応答値×100[%]),ベースシェアなどの情報がこのフレームの下部に表示されます.
上部構造の剛性 ,上部構造の減衰係数 , 免震層の剛性 及び免震層の減衰係数 は以下のように求められる.
[N/m]
[Ns/m]
[N/m]
[Ns/m]
ベース固定時の数学モデルは,
ここに,
状態空間表現は,は上部構造の地面からの相対変位[m].
は上部構造の地面からの相対速度[m/s].
は上部構造の地面からの相対加速度[m/s2].
は地面の加速度[m/s2].
または,
ここに,
は上部構造の支柱に作用する剪断力[N].
は上部構造の絶対加速度[m/s2].
免震時の数学モデルは,
ここに,
状態空間表現は,は基礎床の地面からの相対変位[m].
は基礎床の地面からの相対速度[m/s].
は基礎床の地面からの相対加速度[m/s2].
または,
ここに,
は基礎床の絶対加速度[m/s2].
Base Shear:ベースシェア係数は,基礎床の水平方向に作用するせん断力レベルを表すもので,以下のように定義される.
V = a / g [-]ここに,
V:ベースシェア[-]
a:基礎床の最大加速度[m/s2]
g:重力加速度[m/s2]
応答スペクトル(Response Spectra):応答スペクトルは,固有振動数(または固有周期)と減衰率の関数として表される1自由度系に地震波を入力したときの最大応答値をプロットしていったもの.
1自由度系モデルの運動方程式は,ここに,
または,
:減衰率[-]これより,それぞれの応答スペクトルは次のように表すことができる.
:固有振動数[rad/sec]
:固有周期[sec]
:加速度応答 スペクトル
:速度応答スペクトル
:変位応答スペクトル
床応答スペクトル(Floor Response Spectra):床応答スペクトルは,1自由度系への入力に地震波ではなく,はじめに1自由度系の固有周期と減衰率を免震層の固有周期と減衰率に設定して求めた免震層上での応答加速度を入力として用いて求めた応答スペクトル.ただし相互作用によって基礎床の応答がかわることはないものとしている.
上部構造の固有振動数のみを 0.5,1,2[Hz]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.
免震層の固有振動数のみを 0.1,0.5,1[Hz]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.
質量比のみを 0.1,1,10[-]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.
免震層の減衰率のみを 0.1,0.2,0.4[-]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.
全ての地震波が同一最大加速度を持つように設定し,そのときの応答を比較しなさい.
パラメータを全て初期値のままで免震装置を使用した場合について構造物の応答計算を行うと,構造物の固有振動数が,構造物を地面に固定した場合の固有振動数とは異なってボード線図上にあらわれるのは何故かについて考察しなさい.
全ての地震波入力から構造物を守る免震装置を設計しなさい.ただし,免震装置は以下の制約を満たすものとする.
Skinner, R.I., Robinson, W.H., McVerry, G.H. (1993). "An Introduction to Seismic Isolation", Wiley.
Kelly, James M. (1997). "Earthquake-Resistant Design with Rubber", Springer.
Structural Engineering Design Provisions. "1997 Uniform Building Code".
National Science Foundation(NSF)によるご支援(認可番号CMS 95-28083,Dr. S.C. Liu, program director)さらにMultidisciplinary Center for Earthquake Engineering Research (MCEER)からのご支援に大変感謝しております.また,東京大学の藤野陽三教授には,神戸地震及び八戸地震の記録データの確保にご協力いただいき大変感謝しております.