Help Page for the Java-Powered Simulation for Base Isolation

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Modified by Richard Christenson and Erik A. Johnson

 
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はじめに

“Java-Powered Simulation for Base Isolation”のヘルプページへようこそ. このページでは,“Java-Powered Simulation for Base Isolation”の使用方法の他,運動方程式の導出や重要な定義などの理論的な説明が加えられており,さらに簡単な問題や参考文献が載せてあります.

免震(Base isolation)は,地震から建物を守るための大変重要な方法です.これは,構造物を外部の地面加振から絶縁しようとするものであり,地震エネルギーを建物の中で散逸するのではなく,このエネルギー自体が構造物に伝わらないようにするのである. この方法が優れていることを証明する事例として,1995年に発生した阪神淡路大震災において,免震装置を採用していた構造物がほとんど無傷のまま倒壊を免れたという事実が報告されました. このことによって,免震装置が地震による建物の倒壊を防ぐ方法として非常に有効であるということを証明し,近年ではその効果が大変注目を集めています.

そこでこのアプレットでは,免震装置が如何に重要であり有効であるかをシミュレーションによって比較・検証できるものとなっています. まず,このシミュレーションでは5つのケースについて取り扱っています. (i) では従来の耐震建物について,すなわち建物が地面の上に直接建てられている場合, (ii) 〜 (v) では,地面と構造物との間に免震装置を取り付け地震動が直接構造物に伝わらないようにした場合を取り扱っています. 現在,ゴム要素と減衰を得るために用いられている鉛プラグとからなる免震装置が広く適用されており,これらの要素には強い非線形性が含まれています. したがって,今までのシミュレーションで取り扱っていた線形モデルに加え,今回新たにこの非線形性を考慮に入れた免震システムのモデルを追加し,それぞれの応答を比較することができるようにいたしました. ケース (ii) では今まで用いていた線形の免震モデルを取り扱っていおり,この免震装置は,線形の減衰と剛性を有しているものとしています. ケース (iii) では非線形減衰を含んだ免震モデル,ケース (iv),(v) では,非線形剛性としてヒステリシス剛性を含んだモデルを取り上げています. ケース (iv) では Bouc-Wen モデルを,ケース (v) では Bilinear モデルを用いて,鉛プラグ内蔵型積層ゴムの復元力特性のモデル化を行いました. ここで,構造物は全て1自由度線形系モデルとしています.

このプログラムでは,構造物や免震装置の特性,そして加振入力として用いる地震波の種類を変更することができ,特性値の違いが応答にどのような影響を及ぼすのかを試すことができます. また各自で設計した装置の効果を,アニメーションによってでも確認できるようになっています.

[picture of java applet]
Fig. 1 Java Powered Simulation Applet

プログラムの使用方法

このシミュレーションプログラムは,大まかに (1) Control Panel, (2) Animation Frame, (3) Excitation Signal Frame, (4) Response Spectra Plot Frame, (5) Time Response Frame の5つのコンポーネントから成り立っています.以下に,個々のコンポーネントの使用方法を説明していきます.

Control Panel

一番右側に位置しているのがコントロールパネルであり,このパネル上で構造物や免震装置,入力波の特性値を任意の値に変更することができます.また各応答を再計算させるためのボタンや,アニメーションを実行させるボタンなどもこのパネルに含まれています.

Structural Parameters

Isolation System Parameters

Excitation Input Parameter

Check Boxes

Response Window Zooming

Number of Spectra Data Point

Action Buttons

Animation Frame

左上にあるAnimation Frameでは,地震波によって加振されたときの構造物の様子をアニメーション表示します.フレーム下にある左側のメニューを選択することで,それに対応したケースについてのアニメーションを表示することができます.また,右側のメニューを選択することで,構造物の動きを絶対座標系または相対座標系から見た場合のアニメーションを表示できます.

Excitation Signal Frame

中央上部にあるEarthquake Signal Flameは,計算に使用する入力波の選択を行い,入力波として計算に使用している地震波を表示します.このアプレットでは,入力波として以下の4つの地震波と Sin 波を使用することができます.

このフレームでは,それぞれの地震波の変位または加速度波形を表示させることができます.

Response Spectra Plot Frame

左下に位置するResponse Spectra Plot Frameでは応答スペクトルを表示します.応答スペクトル線図では,変位,速度及び加速度の応答スペクトルを表示します.

Time Response Frame

中央下部にある Time Response Frame では,Earthquake Signal Frame で表示されている地震波入力に対する時刻歴応答を表示します.ここでは,上部構造の変位,速度,絶対加速度,基礎床の変位,速度,絶対加速度または支柱に作用する剪断力を表示することができます.また新たに,変位(又は速度)と復元力(又は減衰力,復元力と減衰力の合力)との関係図をも表示できるようになった.各応答の最大値や応答低減(=免震時の最大応答値/固定時の最大応答値×100[%]),ベースシェアなどの情報はこのフレームの下部に表示されます.

理論

主要パラメータの定義

運動方程式の導出

その他の定義

問題

  1. 上部構造の固有振動数のみを 0.5,1,2[Hz]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.

  2. 免震層の固有振動数のみを 0.1,0.5,1[Hz]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.

  3. 質量比のみを 0.1,1,10[-]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.

  4. 免震層の減衰率のみを 0.1,0.2,0.4[-]としたときの応答を計算を行い,比較を行いなさい.

  5. 全ての地震波が同一最大加速度を持つように設定し,そのときの応答を比較しなさい.

  6. パラメータを全て初期値のままで免震装置を使用した場合について構造物の応答計算を行うと,構造物の固有振動数が,構造物を地面に固定した場合の固有振動数とは異なってボード線図上にあらわれるのは何故かについて考察しなさい.

  7. 全ての地震波入力から構造物を守る免震装置を設計しなさい.ただし,免震装置は以下の制約を満たすものとする.

    • 固有振動数:0.25 〜 1[Hz].
    • 減衰率:0.01 〜 0.40[-].
    • サイズミックギャップ: 〜 0.50[m].

参考文献

  1. Skinner, R. I., Robinson, W. H., McVerry, G. H. (1993). "An Introduction to Seismic Isolation", Wiley.

  2. Kelly, James M. (1997). "Earthquake-Resistant Design with Rubber", Springer.

  3. Structural Engineering Design Provisions. "1997 Uniform Building Code".

  4. Teb Belytschko, Thomas J.R. Hughes. "Computational Methods for Transient Analysis", North-Holland.

  5. Glen V. Berg. "Elements of Structural Dynamics", Prentice-Hall International.

  6. 武田寿一編(1988),”構造物の免震・防震・制振”,技報堂出版.

  7. 日本免震構造協会編(1995),”免震構造入門”,オーム社出版局.

  8. 日本建築学会(1989),”免震構造設計指針”,技報堂出版

謝辞

National Science Foundation (NSF)によるご支援(認可番号CMS 95-28083,Dr. S.C. Liu, program director)さらにMultidisciplinary Center for Earthquake Engineering Research (MCEER)からのご支援に大変感謝しております.また,東京大学の藤野陽三教授には,神戸地震及び八戸地震の記録データの確保にご協力いただいき大変感謝しております.そして,このプログラム開発に当たりいろいろとご指導して頂いた電力中央研究所の大鳥靖樹氏には,ここで改めて感謝の意を表したいと思います.

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